糖尿病の合併症としてよく知られているものに、糖尿病神経障害があります。
一般的には「糖尿病を発症してから10年くらいで起こる」と言われています。
しかし実は、血糖値がそれほど高くない段階でも起こる神経障害があることは、あまり知られていません。
small fiber neuropathy(スモールファイバー・ニューロパチー)とは?
神経には大きく分けて2種類があります。
- 太い神経(large fiber):しびれ、感覚低下、力が入りにくい
- 細い神経(small fiber):痛み、ヒリヒリ感、焼けるような痛み、違和感
small fiber neuropathy(SFN)とは、
この「細い神経」だけが障害されるタイプの神経障害です。
糖尿病予備群(IGT)でも起こります
SFNの重要なポイントは、
明らかな糖尿病でなくても起こるという点です。
耐糖能異常(IGT)
(いわゆる「糖尿病予備群」)の段階でも、
血糖の影響で神経障害が起こることが知られています。
✔ でも手足が痛い・ヒリヒリする
このような症状の原因が、SFNであることがあります。
実は、糖尿病専門医でも知らないことがあります
このsmall fiber neuropathyは、
神経内科医の間では比較的よく知られている一方で、
糖尿病専門医でも存在を知らないことがある病態です。
その理由は、検査で見つけにくいからです。
検査では「異常なし」と言われやすい理由
SFNは、以下のような検査では異常が出ないことが多くあります。
- 神経伝導検査
- 筋電図
- 一般的な神経の検査
そのため、
「検査は問題ありません」
「原因がよくわかりません」
と言われてしまい、
症状だけが残るケースも少なくありません。
診断は「除外診断」が基本です
small fiber neuropathyは、
他の病気を否定したうえで診断する神経障害です。
特に重要なのが、次の病気です。
- サルコイドーシス
- アミロイドーシス
- シェーグレン症候群
これらを血液検査などで否定し、
耐糖能異常や軽度の高血糖がある場合、
血糖の影響によるSFNと判断します。
実は40%ほどは「原因がはっきりしない」
small fiber neuropathyは、
約40%が原因不明とされています。
しかし、他の病気が否定され、
血糖異常がある場合には、
血糖が関与していると考えるのが現在の一般的な考え方です。
治療は「糖尿病神経障害」と同じです
治療は特別なものではありません。
- 血糖コントロールの改善
- 食事・運動など生活習慣の見直し
- 痛みに対するお薬(必要に応じて)
通常の糖尿病神経障害と同じ治療を行います。
ということはありません。
最後に
検査では異常がないのに、痛みや違和感が続く場合、
small fiber neuropathyという考え方が重要になることがあります。
症状があるのに「異常なし」で終わらせず、
原因を一緒に考えていきましょう。
気になる症状があれば、当院は八女市黒木町で診療しているので
お気軽にご相談ください。
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