小児喘息の治療というと、「吸入薬をきちんと使うこと」がまず思い浮かぶと思います。 もちろんそれは非常に重要ですが、実はそれだけでは喘息がなかなか安定しないお子さんも少なくありません。
その大きな原因の一つとして、見落とされやすいのが「鼻炎(アレルギー性鼻炎)」です。
喘息と鼻炎は別々の病気ではありません
鼻と気管支は空気の通り道としてつながっており、 この考え方は「One airway, one disease(ひとつの気道・ひとつの病気)」と呼ばれています。
つまり、
- 鼻のアレルギー性炎症は
- 気管支の炎症にも影響を与える
という関係にあります。 実際、喘息のあるお子さんの多くがアレルギー性鼻炎を合併しています。
鼻炎を治療しないと喘息が悪化しやすい理由
① 口呼吸になり、抗原が直接気管支に入ってしまう
鼻には本来、
- ホコリ・花粉・ダニなどの抗原を除去する
- 空気を温め、湿らせる
というフィルター機能があります。
鼻炎で鼻づまりがあると口呼吸になり、
- 抗原がほぼ無防備な状態で
- 直接、気管支へ入り込む
ため、喘息の炎症や発作を起こしやすくなります。
② 冷たく乾燥した空気が刺激になる
口呼吸では冷たく乾燥した空気がそのまま気管支に入り、 咳やゼーゼーの誘因となります。
③ 後鼻漏による慢性的な咳
鼻炎による後鼻漏は、喘息とは別に咳を悪化させ、 「喘息が治らない」と感じる原因になります。
④ 上下気道の炎症が連動する
鼻の炎症が強いと気管支の炎症も鎮まりにくく、 吸入治療だけでは不十分になることがあります。
鼻炎の治療で「鼻呼吸」に戻すことが喘息管理の鍵
鼻炎を適切に治療し、鼻呼吸ができるようになると、
- 抗原が鼻でブロックされる
- 空気が加湿・加温されてから肺に入る
- 気管支への刺激が減る
結果として、
- 咳やゼーゼーが減る
- 夜間・早朝の症状が改善する
- 喘息発作の回数が減る
「鼻呼吸に戻すこと」自体が喘息治療の一部です。
小児の鼻炎治療にはどんな方法があるの?
① 抗ヒスタミン薬(飲み薬)
くしゃみ・鼻水・かゆみを抑える基本的な治療です。 眠くなりにくいタイプもあり、年齢に応じて選択します。
② 点鼻ステロイド薬
鼻の中の炎症を直接抑える、最も効果の高い治療の一つです。 継続使用で鼻づまりが改善し、鼻呼吸がしやすくなります。
③ ロイコトリエン受容体拮抗薬(LT拮抗薬)
LT拮抗薬は、
- 喘息
- アレルギー性鼻炎
両方に効果のあるお薬です。
アレルギー反応に関与する「ロイコトリエン」という物質を抑えることで、
- 気管支の炎症を抑える
- 鼻づまりを改善する
といった作用があります。
特に、
- 喘息と鼻炎を同時に治療したい場合
- 夜間症状が強いお子さん
- 吸入治療の補助として
に有用で、上下気道をまとめてコントロールできる点が大きな特徴です。
こんなお子さんは鼻炎の治療も見直しましょう
- 喘息治療をしているのに咳が続く
- 夜間・早朝に症状が悪化する
- 口呼吸が多い
- 鼻水・鼻づまりが慢性的にある
鼻炎をしっかり治療することで、 喘息が安定するケースは少なくありません。
まとめ
小児喘息の管理では、
- 吸入治療
- 鼻炎の適切な治療
- 鼻呼吸への改善
- 必要に応じたLT拮抗薬の併用
といった気道全体を見据えた治療が重要です。
八女市黒木町で診療している当院では、喘息と鼻炎をセットで評価し、 お子さん一人ひとりに合った治療を行っています。 お気軽にご相談ください。
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