「健康診断でBMIは標準範囲内だったから安心」「自分は太っていない」と思っていませんか?実は、体重やBMIが正常であっても、お腹の中に脂肪が溜まる「内臓型肥満(いわゆる隠れ肥満)」の方が増えています。今回は、なぜ痩せているのにリスクがあるのか、その理由と対策について詳しく解説します。
1. BMIが25未満なら「肥満」ではない?
一般的に、肥満度を測る指標として用いられるのがBMI(Body Mass Index)です。日本ではBMI 25以上が「肥満」と定義されており、25未満であれば「普通体重」や「低体重」に分類されます。
しかし、BMIには大きな弱点があります。それは「脂肪の質や、どこに脂肪がついているか」までは分からないという点です。
BMIの計算式:体重(kg) ÷ {身長(m) × 身長(m)}
例えば、筋肉量が多くて体重が重いアスリートと、筋肉が少なく脂肪が多い人では、同じBMIでも健康リスクが全く異なります。
2. 怖いのは「内臓型肥満(隠れ肥満)」
脂肪のつき方には、大きく分けて「皮下脂肪型」と「内臓型」の2種類があります。
- 皮下脂肪型:皮膚のすぐ下に蓄積する脂肪。お尻や太ももなど下半身につきやすく、見た目に分かりやすい。
- 内臓型:お腹の中の臓器の周りに蓄積する脂肪。見た目には分かりにくく、BMIが正常範囲内でも蓄積しているケースが多い(=隠れ肥満)。
特に注意が必要なのは、この「内臓型肥満」です。皮下脂肪は体に対して悪さをすることはあまりないと言われています。一方、内臓脂肪は活性が高く、血液中に脂質を放出しやすいうえ、血糖値を下げるインスリンの働きを邪魔する物質(アディポサイトカイン)を分泌します。これが、さまざまな生活習慣病の引き金となるのです。
3. なぜBMIが低くても内臓脂肪が溜まるのか?
「痩せているのになぜ?」と疑問に思うかもしれません。主な原因は、現代人特有のライフスタイルにあります。
① 加齢による基礎代謝の低下と筋肉不足
20代の頃と同じ食事をしていても、30代、40代と年齢を重ねるごとに基礎代謝は低下します。特に運動習慣がない方は、筋肉が減った隙間に脂肪が入り込む「サルコペニア肥満」の状態になりやすく、体重が変わらなくても体脂肪率だけが高い状態になります。
② 偏った食生活と糖質の過剰摂取
カロリー(体重)だけを気にして、タンパク質不足のままパンや麺類などの糖質に偏った食事をしていると、内臓脂肪が蓄積しやすくなります。「食事を抜いているから痩せているはず」という過信が、実は内臓を脂肪まみれにしている可能性があるのです。
③ ストレスと睡眠不足
ストレスを感じると分泌されるホルモン「コルチゾール」は、脂肪を溜め込む働きがあります。また最近では加齢による相対的なコルチゾール過剰状態も言われており年齢を重ねるだけでもコルチゾールの影響を受けやすい可能性が指摘されています。また、睡眠不足は食欲を増進させるホルモンを増やし、代謝を低下させます。
4. 「隠れ肥満」が引き起こす健康リスク
BMIが25未満であっても、内臓脂肪が多い状態を放置すると、以下のようなリスクが急増します。
| 疾患名 | リスクの内容 |
|---|---|
| 2型糖尿病 | インスリンの効きが悪くなり、血糖値が上昇しやすくなります。 |
| 脂質異常症 | 悪玉コレステロールや中性脂肪が増え、血管にダメージを与えます。 |
| 高血圧 | 内臓脂肪から分泌される物質が血管を収縮させ、血圧を上げます。 |
これらが重なると「メタボリックシンドローム」に繋がり、最終的には心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる病気を招く恐れがあります。BMIが正常だからといって、血管の状態まで正常とは限らないのです。
5. 自分が「隠れ肥満」かチェックする方法
まずは以下のポイントをチェックしてみましょう。1つでも当てはまれば、内臓脂肪が蓄積している可能性があります。
- 以前に比べてウエストがキツくなった(腹囲が男性85cm、女性90cm以上は要注意)
- お腹だけがポッコリ出ている
- 健康診断で「中性脂肪」や「血糖値」の数値を指摘されたことがある
- 20歳の頃から体重は変わっていないが、運動は全くしていない
- 清涼飲料水や甘いもの、アルコールを日常的に摂取する