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肥満症治療薬「マンジャロ」との正しい向き合い方は?

近年、肥満治療において大きな期待を集めているのが、最新の注射薬「マンジャロ(一般名:チルゼパチド)」です。この薬は減量を強力に進めるための「武器」として多くの病院が導入していますが、薬の力だけに頼ることは私としては推奨していません。なぜなら、マンジャロの真の効果を引き出し、リバウンドを防ぐためには、生活習慣の改善とセットで行うことが医学的に不可欠だからです。

1. デュアルアゴニスト(双作動薬)としての薬理作用

マンジャロは、私たちの体に備わっている2つの天然ホルモン「GIP」と「GLP-1」の両方の受容体に働きかける「デュアルアゴニスト」です。これまでの薬は主にGLP-1のみに作用していましたが、マンジャロはGIPに対しても強力に作用するように設計されています。

  • GIPの薬理作用: 最新の研究やマウスを用いた報告では、GIP受容体への刺激が脳に働きかけて食欲を抑えるだけでなく、エネルギー消費(代謝)を直接的に高める可能性が示唆されています。
  • 嘔吐が少ない理由: 一般的にGLP-1製剤は吐き気などの副作用が知られていますが、マンジャロは高い効果に比して重篤な嘔吐が少ない傾向にあります。これは、GIP受容体への刺激が、脳内の嘔吐中枢の興奮を一部緩和するように働く可能性が示唆されております。
上記の理由により今までのオゼンピックやリベルサス等のGLP-1作動薬に比較し、体重減量効果は高いですが、嘔吐の副作用が少なく有用な減量治療薬とは言えます。

2. 安全な治療のために:胆石リスクと膵炎への正しい理解

マンジャロを安全に使用するためには、医学的なリスク管理が欠かせません。

● 定期的なエコー検査の重要性

マンジャロでは、胆のうの収縮を抑制することにより胆のう炎や胆石症のリスクが上がることが報告されております。また、マンジャロに限らず急激に体重が減少する際は胆汁中のコレステロール濃度が高まり、胆石が形成されやすくなることがあります。当院では、無症状のうちに胆のうの状態を確認するため、定期的な腹部エコー検査を行っています。早期に状態を把握することで、必要に応じてお薬(ウルソなど)を併用することが重要であると思われます 。

● 膵炎について

過去にはGLP-1受容体作動薬と膵炎の関連が懸念されたこともありましたが、現在の大規模なデータでは、薬剤の使用と膵炎の発生に直接的な因果関係があるという説は否定的な見解が強まっています。過度な心配は不要ですが、当院では念のため定期的な血液検査等で安全性を確認しながら進めています。

3. なぜ「生活習慣の改善」とのセットが必要なのか

マンジャロは非常に強力な武器になりますが、当院では以下の理由から、あくまで「生活習慣の改善とセットで行うこと」が治療の前提であると考えています。

  • 長期使用のリスク:マンジャロは体内の天然ホルモンと似た働きをしますが、治療で用いる量は、本来体の中から分泌される量に比べてかなり多い設定となっています 。このように高いレベルでホルモン作用を促す薬剤を、この先何十年も使い続けた場合に、身体へどのような長期的な影響を及ぼすかは、医学的にまだ完全には解明されていません また、自由診療における高価な薬剤を一生使い続けることは、経済的な観点からも現実的とは言えず、患者様の人生の質(QOL)を考えた際にも、当院としては望ましい姿ではないと考えています

  • 中止後のリバウンド:マンジャロは非常に優れた効果を発揮しますが、使用を中止した後にリバウンドを招きやすいこともまた事実です 薬の力で食欲が抑えられている期間は、いわば「無理なく自分を変えられる貴重な猶予期間」です。この間に食事の選び方や活動の増やし方といった生活習慣そのものを見直しておかなければ、せっかく減量に成功しても、薬を止めた途端に体重は元の数値へと戻り始めてしまいます

結論:マンジャロはあくまで減量におけるサポートとして使う

肥満症の治療において、マンジャロがこれまでにないほど強力な『武器』であることは間違いありません 。しかし、その特性を深く理解しないまま安易に使用し続けることは、副作用のリスク管理や長期的な効果の観点から、決して望ましい姿とは言えないのです

真の意味で健康的な減量を成功させるためには、マンジャロはあくまで強力なサポートとして位置づけるべきです 。薬が食欲をコントロールしてくれている間に、ご自身の生活習慣を見直しえ整えていくこと。この主体的な取り組みこそが、マンジャロのポテンシャルを最大限に引き出す正しい使い方であると私は考えています

※ご注意ください マンジャロは非常に強力な薬剤ですが、誰にでも安易に推奨できるものではありません。ここで明確にしておきたいのは、医学的に「肥満(BMI 25以上)」と、治療対象である「肥満症」は別物であるということです。BMIが25を超えているからといって、一律に使用をお勧めすることはありません。また、糖尿病が無い場合は保険適応とはなりません。当院では、単なる減量目的ではなく、健康状態や合併症のリスクを医学的に慎重に見極め、真に治療が必要な方に対してのみ、安全を最優先に処方を行っております。

八女市・冨田医院:医師 岡田一樹

医院名 医療法人 尚恵会 冨田医院
所在地 〒834-1217
福岡県八女市黒木町黒木87-1
TEL 0943-42-0173
駐車場 あり
医院名 病児保育室 子どもケアハウス のびのび
所在地 〒834-1217
福岡県八女市黒木町黒木87-1
TEL 0943-42-0673
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医院名 冨田医院 八女総合療育館
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TEL 0943-42-0105
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