健診や受診時に「心雑音があります」と言われ、不安になる保護者の方は少なくありません。
しかし、小児の心雑音の多くは器質的心疾患を伴わない機能性雑音(無害性雑音)です。一方で、精密検査が必要な雑音も存在します。
この記事では、小児の心雑音を医学的な観点から解説します。
心雑音とは何か?
心雑音は、心臓内や大血管内の血流が乱流になることで生じる音です。
評価では主に以下を確認します。
- 聴取される時相(収縮期・拡張期)
- 雑音の強さ(Levine分類 I〜VI度)
- 音質(駆出性か逆流性か)
- 最強点と放散の有無
- 体位や呼吸による変化
これらの組み合わせにより、機能性か病的かを判断します。
小児で多い機能性雑音(無害性雑音)
1.Still(スティル)雑音
- 好発年齢:3〜10歳
- 収縮中期(mid-systolic)
- Levine I〜III度
- 左下胸骨縁で最強
- 仰臥位で増強し、立位で減弱
振動様・楽音様と表現されることが多く、左室流出路周囲の血流振動が関与すると考えられています。成長とともに自然消失することがほとんどです。
2.静脈コマ音(Venous hum)
- 持続性雑音(収縮期〜拡張期)
- 頸部で最強
- 頸部圧迫や体位変換(臥位)で消失
内頸静脈の血流音であり、心疾患とは無関係です。
3.肺動脈駆出性雑音
- 収縮早期〜中期
- 左第2肋間で聴取
- やせ型・胸壁の薄い児で多い
相対的な血流増加による駆出性雑音で、肺動脈弁狭窄とは異なりクリックや固定性II音分裂は伴いません。
4.大動脈駆出性雑音
- 右第2肋間で聴取
- 発熱・貧血・甲状腺機能亢進などで増強
血流増加による機能性雑音であることが多いですが、持続する場合は二尖弁の評価が必要です。
精査が必要な心雑音の特徴
拡張期雑音
拡張期に聴取される雑音は原則として病的と考え、心エコー検査を行います。大動脈弁閉鎖不全や肺動脈弁閉鎖不全などが原因となります。
汎収縮期雑音(holosystolic murmur)
収縮全体にわたって聴取される雑音は、心室中隔欠損症(VSD)や僧帽弁閉鎖不全などを疑います。
背部への放散
背部まで明瞭に放散する場合、動脈管開存症(PDA)や大動脈縮窄症などを考慮します。
強度がIII度以上、またはスリルを触れる場合
触診で振動(thrill)を伴う場合は、器質的疾患の可能性が高くなります。
II音異常
固定性分裂、単一化、亢進などがある場合は、心房中隔欠損症や肺高血圧の評価が必要です。
心エコー検査が推奨されるケース
- 拡張期雑音
- 汎収縮期雑音
- 症状(チアノーゼ、体重増加不良、失神など)を伴う
- 家族歴に先天性心疾患がある
- 医師が病的可能性を否定できない場合
まとめ|小児の心雑音は多くが機能性
小児の心雑音の多くは、成長過程に伴う血流の変化による機能性雑音です。しかし、時相・強度・放散・付随所見によっては精査が必要になります。
当院では、診察所見や心エコー検査を行っています。ただお子さんの心臓エコー検査は、難しい一面もあり必要に応じて小児循環器専門医への紹介も行っています。
健診で指摘された場合は、お気軽にご相談ください。