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子どもの便秘 ― 放っておくと「負の連鎖」に

子どもの便秘は決して珍しいことではありません。
しかし、いったん便秘が始まると、「負の連鎖」に陥ってしまうことがあります。

■ 便秘の負の連鎖とは?

最初は単なる「数日出ないだけ」の便秘でも、次のようなサイクルが起こります。

1 便が腸にたまり、硬くなる
 → 便の水分が吸収されて硬くなり、出にくくなります。

2 硬い便を出すときに肛門が切れて痛い思いをする
 → 痛みや出血を経験すると、子どもは「うんち=怖い」と学習します。

3 トイレに行きたがらなくなる
 → 我慢することでさらに便が溜まり、ますます硬くなります。

4 お腹が張る・食欲が落ちる・イライラしやすくなる
 → 便秘による不快感が、生活全体に影響していきます。

5 再び痛みのある排便が起き、悪循環が続く
 → これがいわゆる「便秘の負の連鎖」です。

このサイクルに入ると、自然に治ることはほとんどありません。
早めに「痛くない排便習慣」を作ることが、治療の鍵になります。

●便秘の原因 ― 生活習慣だけではない場合も

子どもの便秘は多くが機能性便秘(習慣や性格によるもの)ですが、
なかには病気が原因のこともあります。

・甲状腺機能低下症(代謝が落ちて腸の動きが遅くなる)

・ヒルシュスプルング病(腸の神経が一部欠損している)

・食物アレルギーによる腸炎

・先天性疾患や神経疾患による腸運動低下

また、離乳食の開始期・トイレトレーニング期・入園や環境の変化なども
便秘を起こしやすいタイミングです。

長引く場合や、お腹の張りが強い・体重が増えないなどの症状がある場合は、
医療機関で原因を確認しましょう。

●生活習慣の改善 ― 食事とリズムを整える

便秘の治療の基本は「生活リズム」と「食習慣」です。

● 水分摂取は重要だが、万能ではない

「水をたくさん飲めば治る」というイメージがありますが、
小児の便秘に対して水分摂取単独で改善するという明確なエビデンスは少ないとされています。
ただし、脱水があると便が硬くなりやすいので、適度な水分は必要です。

● 食物繊維はエビデンスがある

野菜・果物・海藻・きのこ類など、食物繊維の摂取は有効性が示されています。
便のかさを増やし、腸の動きを刺激します。
子どもが嫌がる場合は、みそ汁やカレーなどに混ぜて摂る工夫も効果的です。

● 朝食を抜かない

朝食を取ることで、腸が「動き始めるスイッチ」が入ります。
朝食後にトイレに座る習慣をつけると、自然な排便リズムが作りやすくなります。

排便トレーニング ― 習慣づけが最大のポイント

子どもの腸は、「毎日同じ時間に刺激を受けると、動きが出やすくなる」という特徴があります。
そのため、次のような排便トレーニングが有効です。

1  食後(特に朝食または夕食後)にトイレへ
 腸は食後に最も動きやすくなります。毎日決まった時間に座ることが大切です。

2  20分程度の「トイレタイム」を設定
 出なくてもOK。リラックスして踏ん張る「習慣」を作ることが目的です。

3  足台を使って姿勢を安定させる
 小さい子どもは足が浮くと力が入りにくくなります。足台を使って膝を曲げる姿勢が理想です。

4  トイレを怖い場所にしない
 明るく、安心できる環境を作りましょう。絵本を読む、音楽を流すなども効果的です。

●薬物治療 ― 小児ではむしろ「積極的に使う」ことが大切

生活習慣の改善だけではなかなか改善しない場合、
薬を使って「痛くない排便」を実現することが最優先です。

● まずは出口の硬い便を出す(浣腸)

腸の出口に硬い便が詰まっていると、どんなに薬を飲んでも出てきません。
まずは浣腸や坐薬で詰まりをリセットすることが重要です。

● 維持療法として便を柔らかくする薬を使用

・モビコール:小児の便秘治療で第一選択薬。安全で自然な排便を促します。

・酸化マグネシウム:昔から使われている薬で、便を柔らかく保ちます。

・ラクツロース(モニラックなど):腸内の水分量を増やし、排便をスムーズにします。

中には年単位で一度よくなってもすぐにやめず、しばらく「良い状態を維持する」ことが再発防止につながります。

●まとめ

子どもの便秘は、「痛み」「我慢」「恐怖」が絡み合って悪循環になりやすい病気です。
早めに介入し、「痛くない排便体験」を積み重ねることで、ほとんどのお子さんは改善します。
気になる症状がある際は、お気軽にご相談ください。

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