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【肥満外来の落とし穴】ダイエットの前に知っておきたい「過食性障害」と「神経性過食症」

「何度もダイエットをしているのにリバウンドしてしまう」「どうしても食べる手が止まらない…自分は意志が弱い人間なんだ」
肥満外来を受診される患者さんの多くは、体型や体重に対する深い悩みや強いコンプレックスを抱え、ご自身を激しく責めてしまっています。しかし、その「食べ過ぎ」は、本当に意志の弱さが原因なのでしょうか?

実は、ダイエットがうまくいかない背景には、「過食性障害」「神経性過食症」といった病気が隠れていることが少なくありません。外来でも体重変動が激しい方が時々おり、そういう方に詳しく問診すると過食を認めており、過食性障害や神経性過食症の病名がついてしまうようか方もいます。今回は、肥満治療における最大の落とし穴とも言える、これら「隠れた過食」についてお話しします。

減量よりも先に「過食の治療」が必要な理由

もし、あなたに過食の症状がある場合、すぐにダイエット(減量)を始めるのは大変危険です。なぜなら、過食を治療せずに極端な食事制限を行うと、かえって症状が悪化してしまうからです。

過食の大きな原因のひとつに、「痩せたい気持ちからくる極端な行為の反動」があります 。糖質制限やカロリー制限などの厳しいマイルールを作ると、それがストレスや心の栄養不足を引き起こし、結果として過食の波を生み出してしまいます。そのため、過食を克服してボディイメージのコントロールに取り組むためには、まず大前提として「極端な食事制限を止め、正常な食事パターンを確立する」ことが不可欠なのです 。

医師も見逃す?「隠れた過食」を見落として減量する悲惨な結果

ここで強く強調しておきたいのは、医師を含めた医療者が患者さんの「過食性障害」や「神経性過食症」を見逃してしまうリスクです。

患者さんが「太っているから痩せたい」と訴えたとき、医療者が過食の背景にある心のSOSに気づかず、単純に「カロリーを減らしましょう」「もっと運動しましょう」という一般的な減量指導をしてしまうことがあります。しかし、過食後に食事を制限したり 、運動をし過ぎたり(過活動)することは、次の過食の引き金になってしまいます。

病気が見逃されたまま無理な減量を強いられると、患者さんは「指導を守れない自分」にさらに強い罪悪感を抱き、ストレスから過食がさらに悪化するという悲惨な悪循環(リバウンドと自己嫌悪のループ)に陥ってしまいます。だからこそ、私たち医療者は、肥満の背後にある過食のサインを絶対に見逃してはならないのです。

「過食性障害」と「神経性過食症」の違い

では、具体的にどのような状態がこれらの疾患に当てはまるのでしょうか。根本にはどちらも「強い痩せ願望がある」ことがほとんどですが 、この2つの病気には明確な違いがあります。

1. 過食性障害

肥満外来を受診する方の中で、見過ごされがちな疾患がこの過食性障害です。

  • ほとんどの人が食べる量と比べて、明らかに異常なほど大量の食べ物を一気に食べてしまう 。
  • 食べている最中、「自分では食べることを止められない」という強い感覚(衝動)に襲われる 。
  • 身体的にはお腹が空いていないのに、苦しくて不快になるまで食べ続けてしまう 。
  • 過食の波が去った後、自分自身に対する強い嫌悪感、激しい落ち込み、または強い罪悪感を感じる。

これらのような過食による強い苦痛や罪悪感はあるものの、吐いたり下剤を使ったりといった「帳消し」の行動を定期的に行わないのが過食性障害の特徴です。

2. 神経性過食症

神経性過食症は、病的な痩せ願望が「代償行為」を生む状態です 。

  • 過食で体重が増えることを防ぐために、意図的に嘔吐する(自己嘔吐)、または下剤や利尿剤を乱用する。
  • 過食した分を「帳消し」にするために、その後極端な絶食をしたり、強迫的なまでに過度な運動をしたりする。

過食の衝動に負けた後、強い体重増加への恐怖から、「嘔吐」「下剤」「絶食」などで無理やり帳消しにしようとするサイクルが定着している状態です。

なぜ、過食は起こるのか?

これらの過食は、単なる食いしん坊や甘えではありません。大きな原因として、「幼少期のトラウマやそれによる認知のゆがみ」、「感情を乱す引き金(ストレス)」、「痩せたい気持ちからくる極端な行為の反動」などが複雑に絡み合っています。

「完璧になおそう」と意識すればするほど自分を否定し、過食が生じてしまいます 。「過食」という行為自体が、あなたが今まで無理して生きてきたサインでもあるのです 。過食してしまったときは自分を評価せず(マインドフルネス)、ありのままを受け入れることが克服への第一歩となります 。

ひとりで抱え込まず、まずはご相談ください


当院は八女市黒木町で診療しており、過食を認める方には通常の減量治療の前にまず、過食に対する問題にじっくり取り組んでから、通常の減量外来に移行しております。また、重い精神疾患が原因の時や、当院の外来で難しい場合は、その時はしかるべき専門家に紹介させて頂きます。

肥満外来で、医師に向かって「実はコントロールできずに過食してしまう」「吐いてしまうことがある」と打ち明けることは、患者さんにとって「都合の悪い現実を開示する」ことであり、非常に勇気と覚悟がいることだと思います 。しかし、その勇気ある一言が、根本的な解決への扉を開きます。


冨田医院:医師 岡田一樹

マインドフルネスについての説明はこちらから

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