糖尿病の治療で最もよく使われる薬の一つが「メトホルミン」です。大昔からある糖尿病薬ですが、日本の糖尿病治療ガイドラインでも 最初に使う薬として優先度が高い と位置付けられています。今回は、その特徴と利点についてご説明します。
●血糖を下げる効果がしっかりしている
メトホルミンは、肝臓からの糖の産生を抑えたり、筋肉や脂肪での糖の利用を助けたりすることで、血糖値を下げます。ほかの経口薬と比べても、HbA1cを約0.5〜1.0%下げる効果があり、しっかりとした血糖改善が期待できます。
●日本のガイドラインでも第一選択薬
日本糖尿病学会の「糖尿病治療ガイドライン」では、生活習慣の改善で十分に血糖コントロールできない場合、最初に使う薬としてメトホルミンを推奨しています。理由は、効果が安定していて、安全性が高く、長期的な予後の改善にもつながる可能性があるためです。
●値段が安い
糖尿病治療は長期にわたります。メトホルミンはSGLT2阻害薬、GLP1製剤と比較するとはるかに安く、患者さんの経済的負担が少ないことも大きな利点です。
●体重が増えにくい
一部の糖尿病薬は体重増加の副作用がありますが、メトホルミンはむしろ体重を減らす方向に働くことが多い薬です。そのため、肥満を伴う方にも使いやすいという特徴があります。
●心血管への良い影響
大規模臨床試験(UKPDS研究)では、メトホルミンを使用した患者さんは、心筋梗塞や脳卒中など心血管イベントのリスクが下がる可能性が示されました。最近の研究でも、心不全のリスク低下に関与する可能性が報告されており、心不全患者に対して欧米では普通に使用されております。
●がん予防の可能性?
観察研究の段階ですが、メトホルミンを使っている方は、一部のがん(大腸がんや肝臓がんなど)の発症が少ない可能性があることも報告されています。まだ確定的ではありませんが、世界的に研究が進められている分野です。
★注意点
・腎臓の機能が低下している方には使えない場合があります。
・まれに乳酸アシドーシスという副作用があるため、嘔吐や強いだるさが出た場合はすぐに受診が必要です。
・胃腸の副作用(特に下痢)は初めに出ることがありますが、少量から始めれば軽減できます。
●まとめ
八女市黒木町で診療している冨田医院では、上記のような理由からメトホルミンを糖尿病治療の中心に
据えております。何かあればいつでも御相談下さい。
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