日本では糖尿病と認知症はともに増えており、多くの方やご家族が心配される病気です。実は、糖尿病があると認知症になるリスクが 1.5〜2倍 に上がることが報告されています。今回はその関係と、日常の食生活でできる工夫についてお伝えします。
●糖尿病と認知症の関係
糖尿病は アルツハイマー型認知症 や 血管性認知症 のリスクを高めます。原因としては
・高血糖による血管障害(脳梗塞や微小出血)
・インスリン抵抗性が神経細胞に悪影響を与える
・アミロイドβやタウ蛋白の代謝異常を促進する
などが挙げられており、適切な血糖コントロールを続けることは、認知症予防の観点からも非常に重要です。
●食生活でできる工夫
研究の中で注目されているのが 「地中海食」 の食習慣です。これは糖尿病や心臓病の予防だけでなく、認知症予防にも効果があるとされています。
日本人の生活に合わせて取り入れると:
大豆製品(納豆・豆腐・味噌など) → 植物性たんぱく・イソフラボンが血管を守る
野菜をたっぷり → 抗酸化作用や血糖安定化に有効
海藻類(わかめ・昆布・ひじき) → ミネラル・食物繊維が生活習慣病予防に
牛乳・乳製品 → カルシウム・たんぱく質で脳と筋肉をサポート
米を少なめに、雑穀や全粒穀物を取り入れる → 食後高血糖を防ぐ
●血糖コントロールと生活習慣
高すぎる血糖も、低血糖も脳に悪影響を与えます。「ちょうど良い」血糖コントロール が認知症予防には大切です。さらに、適度な運動(週150分のウォーキングなど)、禁煙・節酒、趣味や社会活動で脳を使うことなど、複合的に行うことが認知症・糖尿病の両方の予防に効果的であることが分かっております。
●まとめ
糖尿病と認知症は別々の病気に見えますが、実は深くつながっています。
血糖を安定させ、バランスの良い食事や生活習慣を心がけることが、将来の「脳の健康」を守る第一歩です。八女市黒木町で診療している冨田医院では糖尿病治療とあわせて、認知症予防の観点からも生活習慣の工夫についてご相談いただけます。お気軽にお尋ねください。
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