糖尿病の治療と聞くと、「血糖値を下げること」が一番大事だと思われがちです。
もちろん、高血糖が続けば合併症(目の病気、腎臓病、神経障害など)が進んでしまいます。
しかし実は、「血糖が下がりすぎる=低血糖」も非常に危険で、場合によっては高血糖以上に怖いことがあるのです。
低血糖とは?
血糖値が必要以上に下がり、体や脳がブドウ糖不足になる状態です。
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冷や汗
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手のふるえ
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動悸
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強い空腹感
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頭がぼーっとする、集中できない
といった症状が出て、進行すると 意識を失ったり、けいれんを起こしたり することもあります。
また低血糖を繰り返すと、体が「低血糖の警報」に慣れてしまいます。
本来なら血糖が下がると交感神経が反応し「冷や汗・動悸・ふるえ」といった警告症状が出ます。
ところが、繰り返し低血糖を経験するとこの反応が鈍くなり、症状が出にくくなるのです。
さらに脳も低血糖に順応してしまい、症状が出ないまま血糖が危険域まで下がることがあります。
➡️ これが 無自覚性低血糖です。
特に御高齢の方ではもともと低血糖を自覚する力が落ちていることがあるため、この無自覚性低血糖の状態に
ならないように注意することが必要です。
なぜ低血糖が怖いのか
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事故・けがの危険
無自覚性低血糖では、前ぶれなく意識を失うことがあり、運転中や外出先で重大事故につながります。 -
心血管イベントのリスク
低血糖のときはアドレナリンなどのホルモンが大量に分泌され、血圧や脈拍が大きく変動します。
これにより、心筋梗塞や不整脈、脳卒中などのリスクが高まります。
特に心臓病を持つ方や高齢の方は注意が必要です。 -
脳への悪影響・認知症との関係
脳はブドウ糖をエネルギー源としているため、低血糖は直接脳を傷つけます。
繰り返すことで、認知機能の低下や認知症のリスクが高まると報告されています。
特に注意が必要なお薬
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インスリン
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SU薬(スルホニル尿素薬:グリベンクラミド、グリメピリドなど)
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グリニド薬(ナテグリニド、ミチグリニドなど)
これらは血糖を下げる効果が強いため、低血糖や無自覚性低血糖を起こしやすい薬です。
低血糖を防ぐために
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食事を抜かない、極端な食事制限をしない
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運動の前後は主治医に相談する
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薬を自己判断で増減しない
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外出時はブドウ糖や飴を携帯する
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「最近低血糖を感じなくなった」という方は、要注意!必ず相談を
八女市黒木町で診療している当院では、低血糖を起こさないような範囲で出来る限り最善の治療を目指して
おります。何かあれば御相談下さい。