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熱性けいれんとは?
熱性けいれんは、発熱に伴って生じるけいれん発作で、主に生後6か月~5歳くらいのお子さんに見られます。日本の小児の約5〜10%が一度は経験するとされており、決して珍しい病気ではありません。
発作は多くの場合、数分以内に自然に止まります。
そのため、後遺症が残ることはほとんどなく、良性の経過をたどる疾患と考えられています。
●熱性けいれんとてんかんの関係
ご家族が一番心配されるのは「てんかんに進行するのでは?」という点です。
熱性けいれんを経験したお子さんのうち、**将来的にてんかんを発症するのはごくわずか(約2〜4%程度)**です。
その多くは、けいれんの持続時間が長い、部分発作のように見える、神経学的な異常を伴う、家族にてんかんの既往があるといった特殊なケースに限られます。
👉 つまり、典型的な熱性けいれんは「良性」で、将来の不安はほとんどありません。
●予防投与(ジアゼパム座薬:ダイアップ®)について
けいれんを何度も繰り返すお子さんや、発作時間が長引く傾向のあるお子さんでは、ジアゼパムの座薬による予防投与が検討されます。
有効性:けいれんの再発をある程度防ぐ効果があります。
注意点:眠気・ふらつきなどの副作用があるため、必要なケースに限って慎重に用いる薬です。
投与タイミング:解熱剤を入れる場合は、ダイアップを解熱剤の座薬より30分ほど早く投与すると、効果的に予防できます。※解熱剤で熱を下げることで熱性けいれんを防げる訳ではないので、ダイアップを先に入れることが重要です。
●避けるべき薬
一部の薬は、熱性けいれんの持続や重症化に関与する可能性が知られています。
・テオフィリン製剤(気管支拡張薬の一部)
・一部の抗ヒスタミン薬
これらはけいれんが長引くリスクがあるため、熱性けいれんを起こしやすい年齢のお子さんでは注意が必要です。
●ご家庭での対応
けいれんが始まったら、まずあわてず安全を確保しましょう。
体を横にして、吐物で窒息しないようにする
口の中に物を入れない(舌を噛むのを防ぐために物を入れる必要はありません)
発作の時間を測ることも重要です。医師にとって診断・対応の手がかりになります。
👉 多くは数分で自然に止まりますが、5分以上続く場合や、ぐったりして回復が遅い場合は救急受診が必要です。
●まとめ
熱性けいれんは小児に多い、基本的に良性の疾患です。特に親や兄弟に熱性けいれんの既往があるときは、本人も
熱性けいれんを起こす可能性が高くなります。
安心して対応できるよう、正しい知識を持つことが大切です。不安な場合は遠慮なく当院にご相談ください。