甲状腺のバセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰に作られてしまう病気です。治療には抗甲状腺薬(当院では主に メルカゾール®(チアマゾール))を使いますが、「いつまで飲み続ければいいのか?」は患者さんからよくいただくご質問です。
抗甲状腺薬の基本的な治療方針
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メルカゾールを内服すると、多くの方は数か月で甲状腺ホルモンの値が落ち着いてきます。
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しかし「甲状腺の免疫異常(自己抗体)」が残っていると、薬をやめるとすぐに再発してしまいます。
そのため、血液検査で「TRAb(TSH受容体抗体)」という抗体の値を測定することが大切です。
中止の目安:TRAbが2未満
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当院では、TRAbが2以下になったらメルカゾール中止の可能性があると考えています。
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TRAbが陰性化している方は、薬をやめても再発しにくい傾向があります。
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実際に当院では、上記を鑑み積極的に「中止できる方は中止に持っていく」方針をとっています。
中止後の注意点
ただし、薬をやめられたからといって「もう安心」というわけではありません。
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再発
→ 一度安定しても、数か月〜数年後にホルモンがまた上がることがあります。中には数十年後にという方も。 -
バセドウ病が治っても、バセドウ眼症が急に起こることもある
→ 中止後でも、急に目の症状(まぶたの腫れ、眼球の突出、視力低下など)が出ることがあります。
→ 特に喫煙されている方はリスクが高まります。
当院の考え方
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メルカゾールは「ずっと飲み続ける薬」ではなく、TRAbの値を目安に中止できるかどうかを判断する薬です。
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しかし中止後も、定期的な血液検査や診察が不可欠です。
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再発や眼症は「突然」起こることがあるため、体調の変化(動悸・手の震え・体重減少・目の異常など)を感じたら、早めの受診をおすすめします。
八女市黒木町で診療している当院では、患者さんの状況に応じて「中止のタイミング」を積極的に検討しています。
ただ中にはTRAbが下がらず中止が難しいこともありますので、そういう方で手術や放射線治療に抵抗がある方はメルカゾールを少量だけ長期に使う方法もあります。バセドウ病の治療について不安やご質問がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
下記はバセドウ病に関してはまとめた記事です。
バセドウ病とはどんな病気??