糖尿病は、それ自体が動脈硬化性疾患(ASCVD)の高リスク因子とされています。
そのため、血糖コントロールに加えて、コレステロールを(特にLDLコレステロール)しっかり抑えることが重要です。
日本動脈硬化学会の 「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022」 では、リスクに応じたLDL-Cの管理目標が明確に示されています。
🧪 LDL-C管理目標(ガイドライン2022より)
-
糖尿病のみ(一次予防、その他のリスク因子がない場合)
→ LDL-C 120mg/dL未満 -
糖尿病+追加リスク因子あり(高血圧、喫煙、CKD、家族歴など)
→ LDL-C 100mg/dL未満 -
糖尿病+冠動脈疾患・脳梗塞・抹消動脈疾患の既往(二次予防)
→ LDL-C 70mg/dL未満
このように、糖尿病は「リスク層別化」によってLDL-Cの管理目標が変わってきます。
よって健診表や採血結果でLDLコレステロールが正常範囲にあるようでも人によっては
まだ高すぎるということもありえます。
💊 治療の中心はスタチン療法
LDL-コレステロールの低下療法の第一選択は スタチン です。中性脂肪に関してはお薬の力で抑えることで血管の病気を防げるかはわかってないことも多いですが、LDL-コレステロールはスタチン等を使うことで血管の病気を起こりにくくすることが出来ます。スタチンは単にLDL-Cを低下させるだけでなく、プラーク安定化作用や心血管イベント抑制効果がエビデンスとして確立しています。
🔍 動脈硬化進展のモニタリング
数値だけでは見えない「血管そのものの状態」を評価することも重要です。
-
頸動脈エコー:内膜中膜複合体厚(IMT)やプラークを評価
-
ABI(足関節上腕血圧比):下肢閉塞性動脈硬化症(PAD)のスクリーニング
これらを定期的に行うことで、薬物療法の効果判定や将来リスクの把握が可能になります。定期的に評価を行い、細い血管があるなら血液サラサラの薬を飲んだり外科的な治療で血管の病気を防ぐことが出来ます。
✅ まとめ
-
LDL-Cの管理目標はリスク層別化に応じて
- 120未満(一次予防、低リスク)
- 100未満(リスク因子あり)
- 70未満(二次予防) -
治療の中心は スタチン療法、必要に応じて併用療法
-
頸動脈エコーやABI測定で動脈硬化の進展を客観的に評価
📍 糖尿病の管理は「血糖値」だけではなく、LDL-C管理と血管評価を含めた総合的な管理が重要です。
八女市黒木町で診療している当院でもガイドラインに準拠した治療を行っておりますので、ご心配のある方はぜひ一度ご相談ください。