健康診断で「血糖値が高め」と指摘される方は少なくありません。糖尿病の診断を満たす場合は、すぐに治療を開始しますが、基準を満たさない隠れ糖尿病を見つけるために行われる検査の一つが 75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT) です。
75gOGTTとは?
空腹時にブドウ糖を75g飲んで、その後2時間までの血糖値を測定する検査です。この結果から、
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正常耐糖能
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境界型(耐糖能異常)
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糖尿病型 のいずれかに分類されます。
耐糖能異常とは
75gOGTTで「糖尿病とまではいえないが、正常でもない」状態を 耐糖能異常(IGT) と呼びます。この段階でも油断はできません。研究によると、IGTの時点ですでに心筋梗塞や脳卒中といった心血管イベントのリスクが増加することがわかっています。
治療の基本は生活習慣の改善
耐糖能異常の段階での基本は、
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食事療法:バランスのとれた食事、過剰摂取の回避
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運動療法:週に数回の有酸素運動や筋トレ です。これらによって血糖を改善し、糖尿病の発症を予防することが期待できます。
薬物療法について
生活習慣の改善を行っても血糖値が高めの状態が続く場合、薬物療法が検討されることもあります。なかでも ボグリボース(α-グルコシダーゼ阻害薬) は、日本の研究で 糖尿病発症を抑制する効果 が示されています。つまり、境界型の段階でボグリボースを使用することで、糖尿病への進展を防ぐ可能性があるため、食事運動療法が基本にはなりますが薬物療法も試みても良いかもしれません。
まとめ
健診の指摘は「早めの対策を始めるチャンス」です。気になる方は医師に相談し、自分に合った予防法を一緒に考えていきましょう。また、糖尿病の診断基準を満たす場合は、最初にしっかり治療を行うことがレガシー効果を得られるため重要です。
レガシー効果に関しては下記に書いておりますので御参照下さい。
糖尿病は初期治療が重要です。レガシー効果の観点から